昼過ぎ、一昨日一緒に飯を食い、昨日の夜は泊まって行った田舎(気仙沼)の友達が宮城へ帰って行った。
今年の元日に知らされた、幼馴染の病気。
その翌日の日記にも書いたけど、やっぱり俺は、ヤツの言葉のほとんどが反対側の耳からすり抜けてたみたいだ。
…と言うより、頭が理解しようとしなかったのかもしれない。
もしくは、都合の悪い事が記憶から排除されるアレと似た様な感じだったのかも。
[0回]
つい先日まで俺は、ヤツが元日に電話口で言ってた言葉の断片から、「余命は最大で5年」だと思ってた。
つまり、治療のしようによっては「5年生きられる」ンだと思ってた。
…が、それは俺の大いなる「勘違い」。
ヤツの言葉を思い出しながら色々と調べてみると…
「Lv.4、この状態からはどのような治療を施しても、5年生きられる確立は1%」
正直、今まで生きてきた中で一番と言っても良いくらいにショックだった。
俺は今までに何人かの友人を失ってる。
勿論、こんなのは俺だけじゃないのも判ってるけどね。
田舎の友人で…とは言え、俺が田舎を離れてからはほとんど交流もなくなった程度だが、子供時代の記憶がある。
ソイツの事故死。
東京に出て来て出来た、バイクショップ内での「走り仲間」の死。
R20号、初台手前辺りじゃなかったな?
オーバーパス上で起きた、激しい事故だった。
その後も身近な友人、田舎の友人の事故死であったり、病死であったり。
そして、去年の3月の震災。
片手じゃ収まらない数の友人が命を落とした。
今日、宮城に帰った友人も、仕事の関係でとある場所に居たとしたら、場所としても時間としても震災が起こったタイミングで、被災の大きかった場所に居た筈だとも言ってた。
だからヤツは言ったンだ。
「ホントは俺、あの時に死んでたのかもな」
「でも生き残っちまった。だから今こんなンなってるんじゃないかと思う」
昨夜は久々にヤツと二人で遅くまで、酒呑みながら色々話しした。
いつもの通りに「バカ話し」ばっかね。
※ コイツは昔から「エヴァ」好きでね(^_^;) こぉ言うの見つけるとすぐに買って来るンだが… ※
コイツは、こんなナリしてても「USBメディア」なンだよねw
因みにこの中には、80年代とかの懐かしいアニソンやら特撮モンやらの曲がびっしり入ってた☆
ガキの頃の話しだとか、仕事の話しだとか、政治はどぉだ、政策はどぉだ、車の話し、単車の話し、アニメの話し、超常現象だのなんだのの話し…
でもやっぱ、ふとした瞬間に病気の話しになるンだよな。
勿論、俺は「イヤ」な訳じゃない。
逆にもっと、正確な情報が欲しいからね。
本人は「不治の病だとか、死に直結した病気だとか、あんまそぉ言う感覚ないンだよな」なんて言ってた。
他にも、結構あっけらかんとした感じで色々話してた。
そぉ例えば…
「皆が心配して色々言ってくれるのは有難いけど、この先、俺の体が弱って動けなくなった姿なンて見せたくねぇからな」
とか
「動ける今の内に、多少の無理してでもやっておきたいし、お前らに迷惑かけたくないしよ」
とかね。
俺らから言わせれば「迷惑なんて気にするな。わがまま言っても良いンだ」とか、「今、無理すンな」とかって言葉が出てくるンだが…
けどね。
昨日の俺は、その手の言葉は一度も言えなかったな。
のど元まで出掛かってるンだけど、今のヤツに言う言葉じゃない。
逆言えば、今、ヤツが口に出す言葉は、誰にも「否定」出来る言葉じゃないンだよ。
それに、他人が否定したり反論する余地すらない言葉なンだよ。
ヤツ自身の「残りの人生」を決める言葉でもあるンだから。
それを他人がどぉこぉ言えるモンじゃない。
たとえ「友人」だろうと「幼馴染」だろうと…ね。
俺は「神」とかなンてモンは信じちゃいない。
…コレは、01/02の日記でも言ったな。
けど、「奇跡」ってモノはあるモンなのかもしれないっては思った。
ヤツの病気が発覚したのは、去年の12月中旬だったらしい。
退院してきて、その事から自分の部屋を片付け始めたンだそうだよ。
そしたら…。
ヤツがまだ東京に住んでた20代の頃に付き合ってた女性の写真だとか、手紙だとかがボロボロ出てきたンだと。
勿論、その女性とは、ヤツが宮城に帰る頃には別れ、そしてその女性は結婚し子供も産まれた。
それからは連絡を取り合うのは不謹慎だと言う理由から、お互いに電話番号も住所も処分していたらしいンだ。
ただ、今のヤツの状態なら理解できる…弱くなってたンだろうね。
田舎の飲み友達に、その女性と逢いたいって零しちゃったみたい。
…が、「奇跡」はこっからなンだ。
年の瀬も迫った12/30。
突然、その女性から電話があったらしい。
住所も電話番号も処分してるのに、しかも、結婚してから10年前後は経ってるはずなのにね。
その間、一度もお互いに連絡してないのに。
どうやら、その女性は離婚していたらしい。
そして、実家に戻り、荷物を整理していたら友人の実家の電話番号を見付けてかけてよこしたんだそうだ。
昨日の昼間、東京に来てた友人は、その女性と10数年ぶりに再会して楽しんで来たそうだよ。
昼過ぎに俺の家から、宮城への家路に着いた友人。
時間的に、そろそろ仙台辺りにいるだろうか。
恐らく、車で上京出来るのは…ヤツが自分で運転して上京出来るのは、今回が最後だろうって、ヤツ自身言ってた。
昨日一晩、俺の部屋に泊まって行ったが…
運動神経がすこぶる高く、体力もあって、力も強い…そんなヤツの面影は、既に無くなってた。
一度座ると、立てないンだよ。
取っ手や、何かの家具に掴まって引き上げないと、自力で立てないンだよ。
階段も手摺りがないと危なっかしくて、その上、歩調もかなり遅い。
しきりに「ゴメンよ」って言ってたが、俺らに謝るなよ。
俺に限らず、お前の友人は皆、今のお前を助ける事なら、何だって喜んでするハズだからな。
次は確かにお前はベッドの上かもしれない。
経過が良くて、そこまで悪化してないかもいれない。
でも、お前も自分で言ってたよな。
「俺は最期の場所を【東京】にしたいと思って、春先にコッチに来るつもりでいる訳じゃない。」
「死にたくねぇから、少しでも設備の整った病院で治療を受けるために【東京】に来るンだ」
ってよ。
また春に会おうな。
だから…「またな」…だ。PR