震災から一ヶ月。
岩手の両親と妹夫婦、宮城の友人や親戚縁者…
そのほとんど全ての安否確認が出来てからも約3週間。
俺も随分と気持ちも落ち着いて、田舎の家族や友人達とは笑いながら電話で話せる様になってきた。
…昨日まではね。
[0回]
昨日の夜…21時過ぎに、無事が確認出来て、普通に話しが出来る様になった田舎の友人から電話が来た。
また、いつものバカ話しだろうと思って受話器を取るが、雰囲気が全然違う。
電話をくれた友人にとって「兄貴みたいな存在」であり、俺にとっても、今の俺があるのに少なからず関わっていたある人物…
その人の遺体が、数日前に陸前高田で見付かったらしい。
さすがにそれを聞いた瞬間は、電話をくれた友人が何を話してるのか全く判らなかった。
…ハッキリ言って「意味不明」にしか聞こえない。
俺の頭が、話しの内容を理解しようとしなかったんだろうね。
その友人と話してる間は、今思えば不思議なくらい、俺は冷静だった。
電話の向こうの友人は、言葉がめちゃくちゃで話しの筋道もまるで立ってない。
取り乱してるなんてモンじゃなく、半狂乱に近い。
しきりに俺に謝ってる。
俺に謝る理由も何もありはしない。
それでもコイツは謝り続けてた。
友人の気持ちを思い…とは言え、慰めたところで何も変わりはしないが…何も言わずにずっと話しを聞いていた。
ただ一言。
『謝るな』
アイツの気持ちが落ち着くには、まだまだ時間が掛かるだろう。
落ち着くまで、俺への連絡はしなくて良い。
落ち着いた時に、もう一度電話くれ。
そう言って、ヤツが受話器を置くのを待ってから俺も受話器を置いた。
受話器を置いたら、俺の中にも何か穴が開いてたな。
今は随分、気持ちも落ち着いた。
昨日今日と泣いたから。
俺が「絵描き」を続けてるのも、その人から回って来た古いMacがあったからだ。
コレがなきゃ、カラーのイラストなんて描いていないだろう。
何て言っても、俺が初めて自分で手にしたPCは、この人から回って来た古いMacなんだから。
それに、今でも俺の「イラスト作成用PC」として動いてくれてるPCなンだから。
俺はこれからもこの古いMacでイラストを描く。
本職の「絵描き」じゃないが…あくまで趣味の域でしかないが…
俺に「カラーイラスト」を描く機会を与えてくれたこのMacを使い続ける事で、俺の中ではこの人が生き続けてくれると信じて。
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